本格始動する高市首相の経済政策 「責任ある積極財政」に対峙する消費税減税の財源

今回の衆院選では自民党が歴史的な圧勝に終わった。高市早苗首相による経済政策が大きく動き出すことになるが、大きな注目を集めているのが「責任ある積極財政」と「消費税減税」だ。選挙後は日経平均株価が上昇し続け、12日には最高値の5万8000円台に到達するなど、市場は高市政権への期待感が高まっているようだ。

「責任ある積極財政」は、高市首相が昨年の総理就任以来、日本経済の方向性として掲げ、意欲的に取り組んでいる政策だ。財政の持続可能性を確保しながら、投資により経済成長につなげ、税収の増加を通じてさらに投資をして、「投資と成長の好循環」を生み出すとしている。8日に出演したラジオ番組で高市首相は、危機管理投資や成長投資について「これは今、手を付けないと間に合わない」と語っている。

税収の増加を投資につなげるとしているが、一方で今回の選挙公約で国民から大きな注目を浴びたのが「消費税減税」だ。2年間という期限つきで食料品にかかる消費税をゼロにするという内容だが、国税の減収は2年間で約5兆円〜6兆円規模(年間約2.5〜3兆円強)と試算されている。

高市首相は財源について「2年間限定であれば、特例公債(国債)を発行せずに確保できる」と述べており、増税や国債ではなく、既存の租税特別措置や税外収入の見直しで賄うとしている。2年間の消費税減税の後は、「給付付き税額控除」に移行していく方針を示している。これは所得税から一定額を差し引く「税額控除」と、控除しきれない金額や納税額が少ない場合において「現金給付」を組み合わせた制度となっている。特に低所得者が恩恵を受けられる制度だ。今後、与野党で構成する国民会議を設置し、詳細を検討して夏前には中間報告をまとめる考えだ。

一方、高市首相をめぐっては選挙期間中に「ホクホク発言」が波紋を広げた。1月31日に川崎市内で行った衆院選候補者の応援演説の中で、「外為特会(外国為替資金特別会計)の運用もホクホク状態だ」などと発言。1日には自身のX(旧Twitter)で《円高と円安のどちらが良くてどちらが悪いということはなく、「為替変動にも強い経済構造を作りたい」との趣旨で申し上げました》などと釈明した。

しかし、これに対してみずほ銀行が反論。2日に「高市演説を受けて~危うい現状認識~」というタイトルのレポートを公開し、「前時代的な発想」などと高市首相に苦言を呈した。その後、高市首相は出演した民放番組で「ホクホク発言」について「切り取られて報道された」などとコメントしている。

これまでの財務省主導による緊縮財政の路線から、経済成長を優先する積極財政路線へかじを切った高市首相。課題は山積している。

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