苦戦の国民民主、自民・維新が3分の2獲得なら用済みか 玉木雄一郎代表の正念場
8日投開票の衆院選を前にした情勢調査で好調な自民、公示前の半減もあり得る中道改革連合がそれぞれ注目されている。一方で退潮とまでいかないまでも、存在感を発揮しきれていないのが玉木雄一郎代表率いる国民民主党だ。現状では、各社の情勢調査で軒並み公示前勢力からの横ばい程度にとどまっている。
「小選挙区に100人以上を擁立した今回、玉木氏は予算を伴う法案を単独で提出できる51議席の獲得を目指していました。ただ看板政策である『年収の壁』引き上げにめどが立った今、キャッチコピーが『もっと手取りを増やす』では新鮮味がなく、51議席の獲得は難しいと党内でもみられていました。それでも議席を増やすとは思われていたので、横ばいという予測に党内では驚きが広がっています」(全国紙政治部記者)
とくに予想外に苦戦しているのが、国民民主が強さを発揮してきた東京だ。国民民主は昨年の参院選東京選挙区で定数6(ほか、3年任期が1)のところ2人が当選できた人気に期待し、新人を含め27人を擁立したものの、朝日新聞の情勢調査ではリードする候補者はゼロとなった。
そんな厳しい状況を反映するように、週末、都内ターミナル駅前で国民民主の新人候補は国会議員とともに「国民民主には政策があります」と訴えていたものの、ビラを受け取って立ち止まる人はわずか。「まだ自民や中道の候補の背中が見えず、厳しい戦い」と漏らした。
それでも選挙が終われば、参院で過半数を確保できていない高市政権は国民民主に協力を仰がざるをえず、今後もキャスティングボートを握れる――。そんな思惑が玉木氏にはあっただろうが、今の情勢ではそれすら危うくなっている。
朝日新聞や産経新聞は情勢調査をもとに、自民と維新が衆院の3分の2(310議席)を確保する可能性もあると報道。仮にそうなった場合、法案が参院で否決されても衆院で再可決をすることが可能になり、高市首相にとって国会運営のハードルは下がりそうだ。
「これまで衆院では自民・維新などで過半数を確保できていたものの、参院で過半数に届いていなかったため、高市首相は『年収の壁』引き上げなど国民民主の政策も実現するなど配慮してきました。しかし衆院で再可決できるようになると、国民民主は『用済み』になってしまう可能性が出てきます」(全国紙政治部記者)
一方でほかの野党と距離を縮められるかというと、それも微妙だ。
国民民主は今回、中道と46選挙区で対決。なかでも連合傘下の全日本自治団体労働組合(自治労)出身の中道候補がいた福井1区にも候補者を擁立したことで「ただの中道の候補者ではなく、連合の組織内候補にも対抗馬をぶつけてきたことで、連合を怒らせた」(立憲関係者)。
選挙区で国民民主の候補者と戦う中道候補(立憲系)も「公明とはこれまで競合する選挙区が少なかったので合流もできたが、国民民主とは多くの選挙区で戦って野党票を奪い合ってきた。国民民主ブームが去ったからといって、今さら私たちにすり寄ってきても困る」と冷ややかだ。
街頭で声をからしながら「国民民主を野党第一党にしてください」と訴える玉木氏。キャスティングボートも握れず、野党第一党にもなれないと、国会での存在感低下は必至。選挙後、玉木氏の正念場がやってきそうだ。
文/中村まほ 内外タイムス