安青錦が最速横綱となる可能性、20年前の白鵬と89年前の双葉山の足跡と比較

大相撲初場所で21歳の新大関・安青錦(安治川)が昨年11月場所に続いて2場所連続優勝を果たした。

25日の千秋楽、11勝3敗で迎えた安青錦は大関・琴桜(佐渡ヶ嶽)を寄り切り、12勝で並んだ熱海富士(伊勢ヶ濱)との優勝決定戦へ。白熱の頂上決戦では、身長187センチ、体重195キロの熱海富士に押し込まれながらも首投げを決めてみせた。

新大関の優勝は2006年夏場所の白鵬以来20年ぶり。新関脇、新大関で連続優勝は1937年春場所の双葉山以来、実に89年ぶりの快挙となった。

安青錦はウクライナ出身で2019年の世界ジュニア相撲選手権3位。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年に来日し、安治川部屋から2023年9月場所で初土俵を踏んだ。

その後は出世街道を駆け上がり、十両は2場所で通過。2025年3月場所で入幕後も4場所連続11勝を挙げて関脇に昇進し、新関脇、新大関として連覇を達成した。

ここまでわずか15場所のスピード出世。次の3月場所で横綱昇進を決めれば、年6場所制以降で史上最速(付け出しを除く、幕下付け出しデビューの大の里は13場所)となり、新入幕から所要7場所での昇進なら大の里(二所ノ関)の9場所を抜くスピード記録となる。

双葉山は2場所で大関を通過

では、20年前の白鵬と89年前の双葉山は横綱になるまでどんな足跡をたどったのか。

【白鵬の足跡】
2006年5月 西大関 14勝1敗 優勝
2006年7月 東大関 13勝2敗
2006年9月 東大関 8勝7敗
2006年11月 西大関 全休
2007年1月 西大関 10勝5敗
2007年3月 西大関 13勝2敗 優勝
2007年5月 東大関 15勝0敗 優勝
2007年7月 西横綱 11勝4敗

白鵬は新大関で優勝した翌場所は13勝を挙げながらV逸。横綱昇進を果たしたのは1年後の2007年5月場所で全勝優勝した後だった。

【双葉山の足跡】
1936年5月 西関脇 11勝0敗 優勝
1937年1月 東大関 11勝0敗 優勝
1937年5月 東大関 13勝0敗 優勝
1938年1月 西横綱 13勝0敗 優勝
※当時は年2場所制

双葉山は新関脇、新大関として連覇を果たし、翌場所でも全勝優勝で3連覇。大関はわずか2場所で通過し、横綱昇進を果たした。しかも新横綱としても全勝優勝し、後世に語り継がれる名横綱としてのスタートを切った。

横綱昇進の条件は「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」。安青錦が3連覇を果たせば文句なく横綱昇進となるだろうが、たびたび議論になるのが「準ずる成績」というあいまいな規定だ。

優勝しなくても横綱昇進の可能性があることを示すが、安青錦は2連覇がいずれも12勝3敗と飛び抜けた成績ではないため、仮に来場所が準優勝でも白星の数によっては横綱昇進を見送られる可能性がある。

豊昇龍(立浪)は大関最後の3場所を8勝、13勝、12勝(優勝)で横綱昇進したが、照ノ富士が引退したタイミングだったこともあり、日本相撲協会が横綱不在となる事態を避けたのではないかと物議を醸した。

その後、大の里も横綱となり、2横綱が君臨する現在、昇進のハードルが下がることは考えにくい。安青錦には誰もが納得する形で横綱となり、角界をさらに盛り上げる活躍が期待される。

文/請川公一 内外タイムス編集部

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