高市首相“抜き打ち解散”で麻生副総裁が「聞いてないよ」とご立腹「長男の世襲計画も狂った」勝っても政権運営に暗雲か
永田町で「ないだろう」と見られていた、通常国会での冒頭解散に高市早苗首相が踏み切ることになった。異例となる2月の総選挙、超短期決戦に、与野党は大慌てで選挙モードに突入した。
だが、高市首相の足元は大きくぐらついている。高市首相の総裁選勝利の立役者となった後ろ盾・麻生太郎副総裁や、麻生氏の義弟の鈴木俊一幹事長が「読売報道の前に、解散を聞いていなかった」と激怒。「解散する」というはっきりとした言葉はもちろん、におわせるようなこともなかったというのだ。
「読売新聞がオンラインで、首相が解散について検討していると報じたのが9日深夜。他社がその内容をなかなか追えなかったのは、高市首相本人から確認がとれなかったのはもちろん、麻生氏や鈴木氏が解散に強く反対しており、『解散しない可能性もあるのではないか』との見方が出ていたからです」(全国紙政治部記者)
2人が解散に反発していた背景には、年度内に新年度予算が成立しなくなることへの危機感があった。
「2人とも財務相経験者で、新年度予算を年度内に成立させることへの思いは人一倍強い。予算成立が年度末に間に合わないことへの対応策について、高市首相が麻生氏らに十分な説明をできていなかったことも、麻生氏らの不信感に拍車をかけました」(自民関係者)
さらに、麻生氏個人の事情もささやかれる。「麻生氏は身内の鈴木氏が幹事長に就いたことで、安心していずれ後継の長男に世襲させ、自民党公認をもらえるとみていたのに、突然の解散により今後の計画も狂ったのでは、とみられています」(全国紙政治部記者)
高市首相は木原稔官房長官らごく一部の側近としか解散について協議せず、結果として予算成立に向けたシミュレーションや党内の反発の想定が甘くなってしまった面があるという。
「高市首相はもともと飲み会が苦手で、首相就任後も政治家と会食をした回数は数えるほど。1人で政策を勉強している時間が長く、解散もほとんど周囲に相談せず一気に決めていきました。読売新聞政治部も、解散検討を報じた紙面の準備は、上層部の指示を受けての急なことだったそうです」(全国紙政治部記者)
突然の解散方針に、自民党の地方組織もてんてこまいとなっている。
公認候補者が決まっていない空白区を抱える県の自民県連関係者は「空白区だったのは、裏金問題などの不祥事があったり、野党候補が強かったりして、候補者選びが難航していたから。いきなり解散となると、候補者を決めるのがますます大変だ。公募を行う暇もなく、元職や県議など、身近な人から選ぶしかない」と嘆く。
こうした各選挙区の実情もあり、選挙をつかさどる鈴木氏の怒りは、麻生氏以上とされている。
そして麻生氏と、麻生氏の側近である鈴木氏を怒らせたツケは選挙後に回ってきそうだ。
「麻生氏は国民民主の玉木雄一郎代表と近く、自民と国民民主のパイプ役となってきました。玉木氏も突然の解散には『経済後回し解散だ』と批判を強めているうえ、頼みの綱の麻生氏を怒らせてしまうと、今後の予算や法案の審議で玉木氏の協力が得られにくくなる可能性があります。衆院選で自民が勝てたとしても、参院で自民、維新は過半数を確保できていないので、玉木氏の協力は重要。このままでは選挙で勝っても政権運営が行き詰まってしまうかもしれません」(自民関係者)
自身の首相就任の立役者でもある、最大の後ろ盾を怒らせた高市首相。「勝てば官軍」となるか。「こんなことになるなら、解散しなければよかった」となるか。一か八かの戦いが始まった。
文/中村まほ 内外タイムス編集部