沖縄で自民が衆院選全勝、オール沖縄完敗は安住発言と中国の対日圧力も影響か

今度の衆議院総選挙は、沖縄でも4選挙区とも自民党の勝利となった。地元2紙の紙面には「自民全勝」、「オール沖縄完敗」との見出しが躍った。沖縄の選挙区を自民党が独占するのは県政史上初である。

沖縄1区では、共産党が唯一選挙区で保持してきた議席を失うこととなった。これは、3万票前後の固い支持基盤を持つカリスマ下地幹郎氏が出馬を取りやめ、結果として保守票の回帰を取り込めたことが大きい。

2区は普天間基地の所在地であり、長くリベラル勢力が牙城となっていた選挙区である。唯一の選挙区の議席を保持してきた社民党の新垣邦男氏が、選挙前に福島社民党の党運営に異議を申し立てて離党し、中道に合流することが許せない社民党の一部メンバーが対立候補を擁立して、共倒れとなった。次点に1万3000票差をつけて宮崎政久氏が念願の選挙区初当選を果たした。

3区は名護市辺野古を抱える選挙区で従来支持してきた公明党の動向によって勝敗がどうなるか注目されたが、島尻安伊子氏が地力を発揮して2万5000票の大差で対抗馬を下した。

4区は沖縄本島南部と台湾中国に近い先島諸島が選挙区で次点に約4万票の大差をつけて西銘恒三郎氏が楽勝となった。この4区は尖閣諸島が選挙区に含まれる国境地帯であり、夜は中国語のラジオ放送が鮮明に聞き取れる、正に安保の最前線である。

沖縄リベラル派が大敗した原因について、沖縄政治に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授は、中道の安住淳共同幹事長が選挙選直前に「政権を取ったら辺野古は止めない」発言が、保革の唯一の紐帯(ちゅうたい)となっていたオール沖縄のレゾンデートルを破壊してしまったと指摘した。安住発言は中道に政権交代したら、辺野古基地建設は中止するだろうという淡い期待を打ち砕くもので、結果として自民党に勝利を許すことになった。

自民党沖縄県連の元事務局⾧仲松寛氏は「基地や経済をめぐる保革の一騎打ちは過去のもの。時代や社会の変遷とともに有権者が政治に求めるものは多岐にわたり、対立より現実的な解決を求めている」と語り、イデオロギー対立の終焉(しゅうえん)を指摘した。

筆者の見立てはオール沖縄勢力を敗北に導いた主役は、ブームを巻き起こした高市首相であるが、一方で影の主役は、中国である。過剰とも見える一連の中国側の対日圧力が、浮動票を保守勢力に押し流す原因を作ったように見える。

取材・文/照屋健吉 内外タイムス

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