未成年に広がる後払い決済(BNPL)トラブル、「親が知らない間に10万円の負債」の深刻実態

欲しいものがあるけれど、今すぐ払えるお金がない…。そんな若者の心理につけ込むように、「BNPL(Buy Now, Pay Later=今買って、後で支払う)」というサービスが急速に浸透している。

国民生活センターの報告によれば、後払い決済に関連するトラブル相談は2024年度に4万3964件に達した。これは2021年度と比較して、わずか3年間で約3倍に急増した計算だ。2025年度も前年同期を上回るペースで推移しており、2026年に入った現在も事態は悪化の一途をたどっている。メールアドレスと携帯電話番号さえあれば、クレジットカードのような厳しい審査なしに買い物ができてしまう。この手軽さが、支払い能力のない未成年を深刻な負債へと誘い込む入り口となっている。

SNS上では「後払い決済を3つ滞納して詰んだ」「高1だけど後払い決済で乗り切った」といった投稿も散見されるが、東京都消費生活総合センターによれば、相談者の多くは13歳から17歳の中高生、そしてその親たち。中には親が知らない間に10万円以上の高額なオンラインゲーム課金やネットショッピングに手を出し、突然届いた督促状に顔を青くするケースも少なくないという。支払い期限を過ぎても本人に危機感が乏しく、督促が弁護士事務所や債権回収会社に委託されて初めて事の重大さに気づくというパターンが定着してしまっている。

未成年者に多い相談は、インターネットゲームと健康食品・化粧品等のネット通販について。インターネットゲームは小学生、ネット通販は高校生の相談が多いとの回答が多く寄せられたという。中には、小学生の児童が「40歳」と偽ってサプリメントを注文し、親が気づいた時、総額3万円を超える定期購入契約になっていた深刻事例も…。こうした「年齢詐称」が行われると、保護者が法的なキャンセル手続きを行おうとしても非常に難しくなるケースもあり、自制心の未熟な子どもたちが仕組みを正しく理解せぬまま支払い困難な負債を抱え込む姿が浮き彫りとなっている。

事態が深刻化するにつけ、ネット上でも「近所のコンビニで督促状を手にする高校生を見たが、本人は深刻さが分かっていないようで怖くなった」「審査がないのをいいことに子どもをターゲットにする仕組み自体に問題がある」「スマホ一つで小学生でも買い物ができる環境は便利を超えて毒」「未成年のうちから借金癖がつくのは恐ろしい」「10代でブラックリスト入りしたら笑えない」「将来ローンも組めずカードも作れなくなる怖さを親が教えるべき」といった意見も聞かれた。

海外に目を向ければ、イギリスやオーストラリアでは未成年の負債増加を重く見て、すでに規制強化にかじを切っている。しかし、日本国内ではこれらを一括して規制する法律がいまだ整備されていないのが現状だ。決済事業者は「購買意欲が高い時に気軽に購入してもらえる」と利便性の高さを強調するが、稼ぐ手段のない子どもに信用を供与する危うさは否定できない。むしろ、支払いが滞っても最終的には親が肩代わりすることを見越した一種の「確信犯的」なビジネス構造が成り立ってしまっているのだ。

便利なサービスが必ずしも善とは限らない。法の網の目を縫うように広がる新しい決済の形が、日本の次世代を担う若者たちの未来を奪うことにならないか。国による法的な整備と、教育現場や家庭における金銭教育、そしてプラットフォーム側への厳格な年齢認証義務化の徹底が、急務となってきそうだ。

文/泉康一 内外タイムス

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