社会保険料引き下げの困難 日本は「高福祉・高負担」と「低福祉・低負担」どちらを目指すべきか

今回の衆院選は、消費税減税だけでなく与野党ともに「社会保険料の引き下げ」を公約に掲げている。社会保険は「病気・ケガや介護などの大きなリスクを社会全体で支えあう」ものだが、引き下げは可能なのか。4日放送のテレビ朝日系「モーニングショー」で議論した。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏によれば、低所得者層にとって消費税より社会保険料の方が負担は大きく、自民・公明・国民民主の3党で「103万円の壁」を178万円へ引き上げると合意したので、次は社会保険料という議論になった。

消費税減税は全世代向け、社会保険料引き下げは現役世代と低所得者層向けの政策だ。社会保障制度の財源は、社会保険料が約6割、税金などが約4割となっている。つまり、社会保険料だけでは賄えないので税金を投入している。具体的には、一般財源から介護には3.7兆円、医療には12.8兆円である。

レギュラーコメンテーターの玉川徹氏は国民負担率について言及した。稼いだ所得から税金と社会保険料をどれだけ納めているかである。「日本は46.2%なので払いすぎだとよく言われる。しかし、イギリスは49%、ドイツは55%、フランスは68%だ。GDPの規模が近いドイツは教育が充実しているが、それを差し引いても日本はG7の中で払っていない方だ。日本がこの程度の負担率で済んでいるのは赤字国債で補っているから」と解説。

社会保障費は、1950年は現役世代12.1人で高齢者(65歳以上)1人を支えていたが、2025年は現役世代2.0人で高齢者1人を支えている形になっている。この少子高齢化は今後も止まらず、現役世代の負担は増すばかりだ。“団塊ジュニア世代”は現在支える側だが、2040年になると全員支えられる側になってしまう。

そうした流れにおいて、将来的に現役世代の社会保険料が上がらないようにするにはどうすべきか。まず、医療費の自己負担額(窓口で支払う医療費の割合)を多くすること。現在、基本的に70歳~74歳は2割で、75歳以上の後期高齢者は1割だが、これを一律に3割負担にすべきだろう。

次に、病床数を減らすことで入院患者を減らすこと。そして、約7000品目のOTC類似薬の保険外しだ。2番目と3番目は、日本維新の会の提案だが、自民との間で協議が進んでいない。反対が多くて簡単ではないということだ。

木内氏は「フリーランチ(タダ飯)はない」と言い、こう続ける。
「各党とも社会保険料引き下げを主張しているが、財源の裏付けがない。政府から充実した社会保障を受けようと思ったら負担もしなければいけないわけで、日本人はサービスも欲しいし減税もしてほしいと言っている」

ヨーロッパとくに北欧の充実した社会保障は有名だが、付加価値税(日本の消費税)が20%以上だ。日本人も選挙戦を通じて「高福祉・高負担」を目指すべきか「低福祉・低負担」で良しとするのか、考えるべきである。

おすすめ