皇室ファッションが映し出す「伝統」と「現代」、天覧相撲で愛子さまの振り袖が話題に

天皇、皇后両陛下と長女の愛子さまが1月18日、両国国技館で大相撲を観戦された。天覧相撲での愛子さまのご様子とともに注目されたのが、着用されていた桜色の振り袖だ。

学習院大学の卒業式でお召しになった振り袖と同じもので、卒業式のときは袴で見えていなかった全体が見えて、金色の短冊の中に菊などの花々が描かれた華やかな文様は新年にふさわしい「晴れ着」だった。

ネット上では「お召し物を大切に着ていらっしゃるのはすてき」「同じ着物を二度も正装に使うとは素晴らしい」と絶賛の声が上がった。愛子さまの「ものを慈しむ心」は着物にとどまらない。

女性皇族は成年を迎える際にティアラを新調されるが、愛子さまは当時、コロナ禍で苦しむ国民を思い、叔母の黒田清子さんのティアラを引き継ぐことを選ばれた。その後、今年の新年祝賀の儀まで、6年間ティアラの新調を辞退し続けられている。

皇室のファッションや装束は、日本の長い歴史と現代文化の両方を映し出す独特の世界だ。伝統装束には千年以上受け継がれてきた格式があり、一方で現代の皇族方が身につける洋装には、国際社会との交流を意識した洗練がある。この二つが同じ皇室の中で自然に共存しているところに、日本文化の奥深さが表れていると感じる。

まず、伝統的な皇室の装束から見ていく。代表的なのが「束帯(そくたい)」だ。束帯は男性皇族の正装で、天皇の即位礼や重要な儀式で着用される。平安時代から続く装束で、「衣冠(いかん)」や「直衣(のうし)」と比べても格が高い。大きく張り出した袖や、ゆったりとしたシルエットは、現代の服とはまったく違う美意識を感じさせる。色や文様にも意味があり、儀式の場にふさわしい厳粛さをまとっている。

女性皇族の最高位の装束といえば「十二単(じゅうにひとえ)」だ。即位礼や大嘗祭など、限られた場でしか着用されない特別な衣装で、重ねる色の組み合わせには四季や自然を表す意味が込められている。たとえば春なら淡い緑や桜色、秋なら紅葉を思わせる色合いなど、季節感を織り込んだ美しさが特徴だ。十二単は単に豪華なだけでなく、日本人が昔から大切にしてきた自然観や美意識を象徴する存在でもある。

また、宮中祭祀で用いられる「御祭服」(ごさいふく)も重要だ。これは天皇や皇族が神事を行う際に身につける祭祀専用の装束で、白を基調とした清らかなデザインが特徴。華やかさよりも神聖さを重んじる服装で、皇室が担ってきた宗教的役割を象徴している。

さらに、衣冠や直衣といった装束もある。これらは束帯ほど格式は高くないが、中位以下の儀式や日常的な宮中行事で用いられてきた伝統的な服装だ。現代では目にする機会が少ないものの、皇室の歴史を語るうえでは欠かせない存在だ。

一方、現代の皇室ファッションは大きく様変わりしている。戦後以降、公式行事や外交の場では洋装が主流となり、皇后陛下や内親王方はローブ・デコルテやイブニングドレスを着用することが多い。男性皇族はモーニングや燕尾服が基本で、国際儀礼に沿ったスタイルが求められる。こうした洋装は、海外の王室や要人との交流において、日本の皇室が国際社会の一員として存在していることを示す役割も果たしている。

とはいえ、和装が完全に姿を消したわけではない。祝賀行事や伝統文化に関わる場では、訪問着や留袖などの着物が選ばれることも多い。特に皇后陛下の和装姿は毎回注目され、色使いや柄の選び方に皇室らしい品格が表れる。和装と洋装を自然に使い分ける姿は、まさに「伝統と現代の融合」を体現しているといえる。

晩餐会や国際行事では、ティアラや勲章も欠かせない。ティアラは皇族女性にとって特別な存在で、各皇族ごとに「持ちティアラ」があり、代々受け継がれていく。ティアラのデザインにはそれぞれの時代の美意識が反映されており、歴史的価値も高い。勲章は外交儀礼の一部として着用され、国際的な場での格式を示す重要なアイテムだ。

このように、皇室の装束やファッションは、単なる衣服の話にとどまらず、日本の歴史、文化、そして国際社会との関わりを映し出す鏡のような存在だ。伝統装束の重みと、現代ファッションの洗練が同じ皇室の中で受け継がれていることは、日本文化の豊かさを象徴しているといえる。

文/志水優 内外タイムス

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