兵庫県警の逮捕に慈恵病院が理不尽と抗議 神戸市の乳児死体遺棄事件
赤ちゃんの遺体を遺棄したとして神戸市北区に住む母親(24歳)が兵庫県警に逮捕された事件をめぐり、母親から相談を受けていた慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長が1月29日に兵庫県庁で会見を開いた。「今回の逮捕は理不尽」などと県警に抗議した。
事件が発覚したきっかけは、母親が出産翌日である25日に慈恵病院へメールを送信したことだった。「助けてください」というタイトルのメールには、事情があり誰にも頼れないこと、救急車を呼ぶ前に自宅の浴室で出産してしまったこと、赤ちゃんは息をしていないことなどが記されていた。
26日、電話で直接話した蓮田院長は警察に相談するよう伝えたが、母親は怯えている様子だったため、代わりに慈恵病院側が電話したという。熊本県警を通じて兵庫県警に連絡が回ったとのことだ。その翌日の27日に、母親は逮捕された。
29日に会見した蓮田院長は「逮捕は非常に理不尽だと考える」「逮捕の要件を満たしているのか、罪に問うべきなのかを慎重に判断しなければならない事例だ」などと批判。一方、兵庫県警は「法と証拠に基づき適正に対処した」と主張している。また、司法解剖の結果、赤ちゃんの死因は窒息死と発表した。
慈恵病院は、自分で子どもを育てることができない場合に匿名で預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を2007年に開設したことで知られている。また、2021年には、病院のみに身元を明かして出産する「内密出産」を国内で初めて実施したことでも有名だ。
現在、誰にも相談できず、医療機関を利用することなく出産する「孤立出産」が社会問題となっている。予期せぬ妊娠であることが多いとされ、死体遺棄事件などに発展するケースが後を絶たない。今回のケースも、孤立出産から事件に発展したものだ。これまで孤立出産問題に向き合ってきた蓮田院長だからこそ、今回の逮捕には納得できず、抗議に至ったものとみられる。
警察の調べに対し、母親は容疑を認めているという。しかし、SNSには逮捕を疑問視する声が多く寄せられている。「相談しているのにもかかわらず逮捕となれば、相談すらしなくなる」など、逮捕ではなく保護を求める意見も目立つ。