【田母神俊雄のニュース・レビュー】帝国主義、植民地主義の再来か

2期目を迎えたトランプ政権は、アメリカの国内産業力強化のため、貿易相手国に対し高額関税を掛けるというところから始まった。1期とは違って露骨に米国の国益のみを追求し、これを妨害する勢力には力で対応する方向に舵(かじ)を切ったようだ。

これまで軍事力の行使は好まない大統領かと思っていたが、イラン攻撃、ベネズエラ攻撃を実施し、また他国の管轄下にあるグリーンランド領有を主張し、これを認めない西欧諸国には高額関税を掛けるという。さらに軍事力の行使も辞さないというから驚きだ。

第2次世界大戦後の世界では、自由、民主主義、法の下の平等などが主張され、強い国が弱い国を力で捻じ伏せることはやらないという暗黙の了解があった。そして、それを主導してきたのは当のアメリカである。それをアメリカ自ら壊してしまうような政策を取り始めている。これでは正に帝国主義、植民地主義時代の再来ではないか。

この影響は世界に及ぶ可能性がある。これまでロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾侵攻などは力による現状変更であり、認められないとしてきたアメリカが、今後ロシアや中国の行動に歯止めをかけられなくなる恐れがある。ロシアや中国からすればアメリカだってやっているということになる。

自国の利益のみを追求する「ドンロー主義」

さらにアメリカが「ドンロー主義」と言って国際協調路線から手を引き、自国の利益のみを考える方向に踏み出していることも世界の安定を損なう可能性がある。2025年の1年間で国連総会の決議は183個あったということだが、その内の約9割に当たる170個の決議にアメリカは反対した。しかも170個のうち43個はアメリカ1国だけが反対という結果である。

さてこのような中で我が国はどうするのか。日本有事の際、アメリカが守ってくれるという考えは甘すぎる幻想である。歴代総理がこれまで就任演説で言ってきた「自分の国は自分で守る」という態勢を実現しなければならない。もちろん一朝一夕にはできない。しかし、国家自立に向けて、これまでの言葉だけの主張であったものを、一歩ずつ実現に向けて前進する必要がある。まずは主要兵器の国産化から始めるべきだ。

今自衛隊の主要兵器の多くは米国製だ。米国の協力がなければ自衛隊は十分な戦力発揮ができない。そして憲法上自衛隊を正規日本軍と位置付けなければならない。正規日本軍でないということは日本国が自衛隊の手足を縛っているということだ。これでは戦いに勝てない。結果抑止力が低下するということになる。

おすすめ