維新・出直しダブル選 党内からも「意味が分からない」他党は「スルー」で思惑外れ?

2月に実施される見通しとなった衆院選と同日に「出直しダブル選」をする意向の吉村洋文・大阪府知事と、横山英幸・大阪市長。党内からも「(ダブル選を)する意味が分からない」(日本維新の会顧問・前原誠司氏)と不満の声が出ているが、それでも奇策に打って出る事情があるという。表向きは、一度あきらめた大阪都構想についての民意を問うというのがその大義だが…。

「維新は高市政権の発足とともに連立入りし、当初こそ政党支持率が上向いたものの、最近では3%台と低迷。連立入りのときに掲げていた、衆院定数削減などの政策も実現せず、さらに最近では維新議員の『国保逃れ』も発覚していました。こうしたなかで衆院選に臨んでも、大阪はともかく、他地域では票を伸ばせないとの危機感がありました」(全国紙政治部記者)

さらに、野党からはこんな冷ややかな声も。

「維新は大阪では自民と対決姿勢をとって人気を集めてきたのに、国政では自民と連立を組むという姿勢が大阪府民には分かりにくかった。それに、大阪の人間は『東京の強いモンと組む』というのをよく思わないので、大阪での支持を考えると自民との連立は必ずしもプラスではない。今一度、本拠地・大阪で維新としてのエッジを立てる必要があったのだろう」(立憲議員)

そこで衆院選と同日の「出直しダブル選」という奇策に出たのだ。

「大阪で圧倒的な支持を誇る吉村氏らが出直し選に出れば、そのまま勝てる可能性は高いとみられています。今のところ有力なスケジュールでは、27日に衆院選が公示されますが、大阪府知事選は22日、大阪市長選は25日にそれぞれ告示され、吉村氏らの演説の様子をいち早くメディアに大きく取り上げてもらうことができます。事実上、維新は他党よりも早く選挙戦をスタートできる、というわけです」(全国紙政治部記者)

そもそも「出直し選」は、維新のお決まりの戦術だ。

2011年には大阪都構想の実現を掲げ、当時府知事だった橋下徹氏が任期途中で大阪市長選に立候補。2014年には都構想への民意を問うとして出直し市長選に出た。2019年にも都構想についての住民投票の実施をめぐって公明党との協議が決裂したことを受け、市長選に松井一郎府知事(当時)が、府知事選に当時市長だった吉村氏が出馬した。

こうして、解散総選挙さながらに自らのタイミングで選挙を仕掛けて盛り上げ、有権者の支持を集める――。吉村氏らはこうした過去の成功体験の再現を狙っているというわけだ。

ただ、吉村氏らの思惑どおりに進むかは不透明だ。

自民や立憲は「維新の戦略には乗らない。無視する」などとして、対立候補は擁立しない方針だ。前回の府知事選では候補を擁立した共産は、現時点での対応を未定としている。

「主要政党がダブル選を『スルー』し、もし無投票ということになれば、吉村氏らのメディア露出戦略は崩れます。そうでなくても、吉村氏らが圧勝しそうな構図であれば、盛り上がりに欠け、メディアもそれほど取り上げません。投票率が下がれば『大阪都構想について民意を得た』ということの正統性も薄れてしまいます」(同)

さらに、新年度予算の年度内成立を諦めてまで解散総選挙に臨む高市首相への批判と重なる疑問の声も上がっている。

「2月に突然の選挙となると、首長による予算の査定スケジュールにも影響が出てしまう。任期途中での選挙となれば税金も余分に使われるのに、『身を切る改革』を掲げる維新がやることなのでしょうか」(自治体関係者)

他党に「スルー」されそうな奇策の行く末はいかに。

文/中村まほ 内外タイムス編集部

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