これまでもあった「冒頭解散」 年度内予算成立は不可能、物価高の対策に遅れる懸念も

23日に召集される通常国会での「冒頭解散」が急浮上し、永田町は選挙モードに入った。高市早苗首相が検討していると報じられたからだ。解散すれば、①27日公示2月8日投開票と、②2月3日公示15日投開票という2つのスケジュールが考えられる。今なぜ解散なのか、冒頭解散のメリットは何か、などについて12日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」で解説した。

国会召集日に、論戦を経ないまま首相が衆院を解散する冒頭解散は1966年の「黒い霧解散」や86年の「寝たふり解散」など、現行憲法下で4例がある。また、1月に解散して総選挙となったのは90年の海部俊樹内閣での「消費税解散」だけで、これを仕掛けた当時の幹事長は小沢一郎氏(現在は立憲民主党)である。

高市早苗首相が政治の師と仰ぐ安倍晋三元首相も臨時国会で冒頭解散をやったことがある。2017年9月の「国難突破解散」だ。東京都の小池百合子知事はこれに対抗すべく「希望の党」を立ち上げ、民進党(民主党の後継政党)は事実上合流することを決め、大きなうねりとなった。

自民党の敗北は確実視されたが、小池氏の「リベラル派排除」発言で様相は一変、民進党が分裂して立憲民主党誕生のきっかけとなった。選挙は自民党が圧勝した。

高市首相はなぜ今、解散総選挙に打って出ようとしているのか。多くの評論家や関係者が指摘する理由の1つは「支持率が高いうちに解散したい」ということだ。テレビ朝日の調査でも内閣支持率63%と政権発足以来、高い支持率を維持している。

2つ目は、国会開会後に予算委員会での厳しい追及を嫌った可能性だ。予算委員長は立憲民主党の枝野幸男氏であり、政治とカネ、旧統一教会問題、台湾有事発言など追及の火種はたくさんある。

では、解散総選挙をして自民党は勝てるのか。控えめに見ても、高い支持率を考えれば現有議席を上回るのは間違いないが、単独過半数を確保できるのかという問題だ。報道ステーションが24年の衆院選をシミュレーションしたところ、もし公明党の選挙協力がなかったならば、自民党が勝利した132選挙区のうち当落が変わるのが52選挙区、当落選上10選挙区とのことだ。

今回は失った公明党票を高い支持率でどこまでカバーできるのか、参政党や日本保守党などに流れた保守票をどこまで回復できるのか、その2つが大きなポイントになる。

しかし、仮に衆院選で自民が勝利を収めたとしても、参議院(定数248)で自民党の議席数101で少数与党なのは変わらない。高市首相は引き続き一部野党との連携を模索しなければならない。

この時期に解散総選挙をすれば、年度内の予算成立は事実上不可能になる。暫定予算で凌げば問題ないという見方もあるが、物価高対策や子育て支援予算の執行は確実に遅れる。「ここで政局に走れば民意が離れるのではないか」と危惧する声も政権幹部から出ている。

おすすめ