高市首相の「悲願」消費減税の実現の行方は 中道の大敗で思わぬピンチも

衆院選で大勝した高市早苗首相。消費減税の検討加速を片山さつき財務相らに指示し、6月にも超党派の「国民会議」で財源のメドをつけ、秋に関連法案を成立させることを視野に入れている。

ただ、いくら衆院選で3分の2を獲得した高市首相といえども、消費減税はそう一筋縄ではいかなさそうだ。

まずはその財源だ。高市首相の掲げる「食料品消費税ゼロ」を実現した場合、年約5兆円の税収減が見込まれている。首相は、税外収入に加え租税特別措置や補助金の見直しで税収減を補いたい考えだが、それで十分かは不透明だ。

それだけに、まずは足元の自民党内で財政規律派の理解を得られるかが焦点だ。党内では2021年から、さながら大物同士を筆頭に「積極財政派VS財政再建派」のバトルが繰り広げられてきた。高市氏が安倍晋三元首相を最高顧問に迎えて、積極財政を推進する財政政策検討本部を設置した一方、当時首相だった岸田文雄氏が財務相経験もある麻生太郎氏を最高顧問に据えた財政健全化推進本部を立ち上げていたのだった。

2025年にはこの2組織が統合する形で財政議論を始めたが、今も高市首相に近い積極財政派と、そうでない財政再建派で党内にはミシン目が入っている状態だ。

そんな党内でも議論が分かれる課題だけに、高市首相は超党派の「国民会議」も開催し、消費税議論で野党も味方につけたい考えだ。ただ、それも中道改革連合の大敗により、状況が変わりつつある。

現在、高市首相は「2年間限定の食料品消費税ゼロ」について、減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」導入までの経過措置としているが……。

「そもそも給付付き税額控除は、単なる消費減税よりも低所得者への恩恵があるとして立憲が主張してきた内容。高市首相は衆参ともに少数与党という状況下で立憲の協力を得たいという思惑もあり、給付付き税額控除の導入を検討し始めましたが、衆院選で立憲系は弱体化。衆参合わせると野党第一党の国民民主は一律5%への消費税減税を掲げている。立憲系が掲げてきた給付付き税額控除を採用すれば野党との議論も進みやすい、という当初の目論見は外れる可能性がある」(全国紙政治部記者)

高市首相は夏までに消費税議論を一定決着させたい考えだが、このような与野党の状況もあり、議論には想定以上に時間がかかる可能性もある。

「党内外で反対の声が強くなり、国民の期待に応えられないと、政権の体力が奪われるリスクも高くなる。党内基盤が弱く、国民からの高い支持率が支えの高市首相だが、一気に党内も国民も離れてしまうと政権の危機だ」(自民関係者)

さらに、食料品の消費税ゼロが始まった2年後に税率を元に戻すのは、野党や国民の反発も大きいとみられる。

「いくら給付付き税額控除を始めたとしても、食料品の消費税が再び上がれば国民の負担感は大きい。高市首相が思い描いたとおりに『消費減税は給付付き税額控除までのつなぎ』で終わらせられるだろうか……」(同)

安倍元首相は、消費増税の延期や増税分の使途変更を打ち出し波紋も呼んだが、長期政権を築いた。安倍氏を敬愛する高市首相も、消費税議論を乗り越えていけるだろうか。

文/中村まほ 内外タイムス

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