「卒業証書」をめぐり田久保前市長宅に7時間に及ぶ家宅捜索 流行語大賞には「19.2秒」がノミネートも

静岡県伊東市の田久保真紀前市長をめぐり、警察が公職選挙法違反容疑や地方自治法違反の疑いなどについて捜査を進める中、17日に3度目の事情聴取が行われた。14日には7時間にも及ぶ自宅の家宅捜索が行われ、段ボール5箱分の資料が押収された。

田久保氏をめぐっては、昨年5月の市長選の際に虚偽の学歴を報道機関に公表させた公職選挙法違反や偽造私文書等行使など6つの容疑・8つの事件について、警察が刑事告発を受理している。

その経緯とは、昨年5月の市長選で当選後、田久保氏は東洋大学除籍のはずだったが、市広報誌のプロフィルなどで「卒業」と紹介したことで、学歴詐称疑惑が浮上。今回の家宅捜索は、田久保氏が当時の市議会議長らに「卒業証書」として見せた書類の任意提出を拒否したことなどを踏まえて強制捜査が必要と判断したという。

なぜなら、田久保前市長は学歴詐称を指摘する告発文が届いた後、市議会の議長と副議長に卒業を示す証拠として卒業証書を開示していた一方で、田久保氏が除籍となった東洋大学は「卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」との声明を発表している。

当時、田久保氏は「卒業証書」なる書類を持っていると主張しながらも公表はしておらず、百条委員会の証人尋問では、市議会の議長らに対して「チラ見せした事実はなく19.2秒ほど見せた」と証言し、物議を醸した。市政に混乱を招いた田久保氏は全国的に知名度を上げ、昨年の流行語大賞に「19.2秒」がノミネートされるなど一躍、時の人となった。

同市は昨年12月、田久保氏が学歴をめぐる問題で失職したことに伴う市長選の投開票を行った。出馬会見では「自分の強み」を問われた田久保氏は、「メンタルの強さ」と回答。メディア出演にも意欲的で、TBS系情報番組「サンデージャポン」リポーターを自宅に招いてインタビューを受けていた。

そのVTRでは、リポーターから「卒業アルバムは、いまおうちにあるんですか?」と質問されると、田久保氏は「そういった大事なものは、こっちには一切ないです」「すべて資料になるものは預けてあります」と笑顔で応じ、当時は余裕があったようにもうかがえる。

だが、市長選は過去最多となる9人が立候補したものの、田久保氏は3位で落選。落選後、田久保氏は自身のSNSで今後の予定について「しばらく未定ですけれども、何か決まりましたら、こちらの動画の方からお知らせしてまいります」としていた。

そんななか、同番組が年末特番の予告映像を公開。すると、スーツ姿でスタジオに登場する田久保氏の姿が映し出されたのだ。同番組は、卒業証書や“19.2秒”などの真相を徹底追及する内容だとし、メディアをざわつかせた。

だが、メディア以上にSNS上では大炎上と化し、放送終了後はXでは、「学歴詐称を笑いのネタにするなんて、伊東市民にも失礼だし笑えない」「不愉快!こういうウソの塊が重宝されてテレビに出演するなんて世の子どもたちはどう思うんだろう」「市長がダメなら芸能界って、ナメてる」といった批判が殺到。

また同日には、オンライン署名サイト「change.org」で、「TBS『サンデージャポン』年末特番への田久保真紀氏出演に反対します」と題した署名活動が始動され、25日時点で600件以上の署名が集まった。署名活動の趣旨には、同番組の年末特番へのゲスト出演について「田久保氏は現在、複数の重大な刑事告発を受けている人物であり、市民に対する説明責任を一切果たしていません。このような人物をメディアが無批判にエンターテインメントとして消費することに、私たちは強く反対します」といった拒否反応が示された。

大きな話題を集めた“田久保劇場”は、見ている者を“釘付け”にし、知名度をアップさせた。今回の家宅捜索で、焦点となっている「卒業証書」はシラを切り通せるものなのだろうか。逮捕を拒み、再び“田久保劇場”は開幕するのだろうか。

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