「散骨」を希望する人が年々増加 バーチャル霊園など供養も多様化
2025年度の都立霊園の募集枠6474件に対し、応募数は2万8715件だった。倍率は4.4倍である。応募が殺到した背景には墓不足があるが、供養の形の選択肢は広がっている。11日放送のテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」が供養の現場をレポートした。
都会の墓不足の解決策としてもっとも手っ取り早いのは、ビル型の自動搬送式納骨堂(マンション型墓地)を利用することだ。実際、このタイプの納骨堂が急増している。駅近など都心部に建設されるので、仕事帰りや買い物のついでに気軽にお参りができる。多くの施設が永代供養を前提としているので、跡継ぎがいなくなっても施設側が供養を続けてくれる。
番組で取材したのは都心の一等地、港区・麻布のビルにある浄土宗の寺院。この寺院では家族がいつ来ても供養できる個室を完備している。ビルの7階にある本堂では、住職が毎日お経を上げて供養している。192万円~(年会費2万円)のプランから契約できる。
今、もっとも注目されているのは「散骨」だ。自分が亡くなったときに希望する供養方法についてアンケートしたところ、散骨がトップだった(出所:AlbaLink)。樹木葬や納骨堂の人気も高い。過去には、石原慎太郎氏や横山やすし氏も散骨を希望していた。
散骨の中でももっとも一般的なのが海洋散骨。海洋散骨で供養した人がクルーズ船に乗り込み、散骨した場所を訪れる「海洋散骨合同法要クルーズ」も行われている。船内では弁当などの食事も提供され、家族で団らんを楽しみながら故人を偲ぶことができる。東京湾を2時間かけて法要するクルーズ、1人8800円とのこと。
海洋散骨をする人は右肩上がりで年々増えており、24年度は3118件だった(出所:日本海洋散骨協会)。これを受け、国土交通省も遺骨の粉砕や散骨する海域などを示したガイドラインを策定した。番組で取材した運行会社はもともと観光向けのクルージングを展開していたが、需要の高まりから海洋散骨事業を開始したという。運行会社社長は「海洋散骨した後の固定費がかからないのは、他の埋葬方法に比べて大きなメリット」と話す。
納骨堂にしても散骨にしても、基本は現地に行って手を合わせるのが供養のあり方だが、移住や転勤などで現地を訪れることが難しい人も増えている。宮城県で葬祭事業を行う会社が“新しい供養のかたち”として、亡くなった人をスマートフォンなどで手軽に供養できるアプリ「バーチャル霊園」を開発した。
アプリは、インターネット上に専用の墓を設けてスマホなどで場所を問わず、亡くなった人やペットを供養するというもの。このアプリを使えば、家族や友人と画像や動画を共有することができ、メッセージを投稿して、思い出を記録することも可能だ。アプリ「バーチャル霊園」は、昨年12月から提供されており、誰でも無料で使うことができる。