中道改革連合「ジャパンファンド」はなぜ支持されなかったのか 突き当たった現実の壁

8日に行われた衆院選挙で大きく議席を落とした中道改革連合。その中道が掲げていた公約が「食料品の消費税0%」だった。

財源として提案されたのが、政府保有の外貨準備や年金積立金、日銀保有ETFなどの公的資産を一元的に運用する「ジャパンファンド(政府系ファンド)」だったが、選挙結果を見ると多くの有権者から支持を受けなかったことになる。「消費税減税」という分かりやすい公約がなぜ国民に響かなかったのだろうか。

そもそも「ジャパンファンド構想」はもともと公明党の案で、政府保有の「外貨準備」などを原資とし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のノウハウを活用して運用するというもの。

中道側は、原資は借金(国債)や増税ではなく、既に国が持っている「眠れる資産」を活用するため、現役世代に負担をかけないと説明。試算上、500兆円規模の運用で年間約10兆円のリターンが見込め、その半分にあたる5兆円を、食料品の消費税0%の財源などの政策に活用するとしていた。

しかし、発表後、専門家や市場関係者などからは厳しい批判が相次ぐことになった。

原資としている「外貨準備」は余剰金や埋蔵金などではなく、政府が「外国為替資金証券(FB)」という短期国債を発行して市場から円を借り、それをドルに替えたもの。つまり、実際には「借金をしてハイリスクな投資を行う」ことと変わらないという見方もできるため、これが「財政を不透明にする」という批判を招いた。

さらに致命的だったのが、中道側が主張した「円安是正」との整合性。為替介入の原資である外貨準備を長期投資した場合、本当の通貨危機や急激な変動が起きた際に対応できなくなる。

ジャパンファンドの推進論として、海外資産の運用益を日本に還元する際にドル売り・円買いが発生し、円安圧力を緩和する効果があるとの見方もあるが、エコノミストからはジャパンファンドでリスク資産を増やして運用益を生むことができたとしても、市場の財政信頼回復には直結せず、むしろ年金流用懸念やリスクテーク拡大で財政不安を増幅させる恐れがあるとの批判がなされた。

つまり、ジャパンファンド構想自体が「絵に描いた餅」であり、外為特会の介入目的資産を積極運用に振り向けるのは、円安防衛ツールを弱体化させる危険性が高く、是正どころか円安を加速させるトリガーになりかねない点が最大の問題という懸念が起こった。

「増税はしない、投資は倍増する、円安も直る」、このような夢のような話で、かつて旧民主党が政策の財源として掲げていた「霞が関埋蔵金」を思い出した有権者も多かっただろう。バラマキを批判しながらも、新たな形の「打ち出の小槌」を提示する中道改革に寄せられた疑問が、今回の結果につながったのかもしれない。

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