中国軍トップの粛清相次ぐ 習近平が虎視眈々と狙う終身国家主席

中国国防省が軍制服組トップの張又俠・中央軍事委員会副主席と劉振立・軍統合参謀部参謀長を重大な規律・法律違反の疑いで調査すると発表したのは1月24日だった。事実上の粛清とみられるが、中央軍事委員会ではメンバーの失脚が相次いでおり、7人で構成されていた同委員会は、これで習近平国家主席(中央軍事委員会主席)と張昇民副主席の2人だけという異常事態になった。

ジャーナリストの峯村健司氏(元朝日新聞記者、キャノングローバル戦略研究所・上席研究員)は3日放送の関西テレビ「とれたてっ!」に出演し、今回の事件の背景について解説した。

2人が失脚した理由は汚職といわれているが、「一番は『主席責任制を踏みにじった』という言葉が使われている」と峯村氏。これは「習近平氏の言うことを聞け」という意味で、つまり習近平氏に歯向かったことが本当の理由だという。

張又侠氏は1979年の中越戦争に参戦した戦争経験者であり、習氏と3歳年上で家族ぐるみの幼なじみ。習氏の唯一の歯止めになる役割だった。

では、張氏は何に歯向かったのか。峯村氏はこう言う。

「習氏は早く台湾を統一したいと思っていた。ところが現場を知って、さらに中国がボロ負けした中越戦争で戦争の痛みを知っている張氏から見ると、ちょっとまだ早いだろうということで、習氏にある意味反対した。これに(習氏が)お怒りになって粛清されたという経緯がある」

加えて今回の粛清には、習氏が“終身国家主席”を目指す中で、来年の共産党大会で後継者候補選びを自分の思い通りにする目的もあったと指摘した。

こうなると台湾有事の危険性が高まったように思えるが、峯村氏は、中国はミサイル攻撃や上陸作戦ではなく、海峡を封鎖して兵糧攻めにする“断絶”作戦や、米軍がベネズエラでマドゥロ大統領を拘束した“斬首”作戦のような形で、無傷で台湾を取る戦略にシフトしていると説明。

また、バシー海峡と台湾海峡を合わせると、日本への原油の約95%が、このルートを通っており、台湾周辺が1、2カ月包囲されるだけで「日本の天然ガスがなくなったり、石油も枯渇してきたりする」と話した。さらに軍事的にも尖閣諸島や与那国島が近いため、「このあたりも封鎖エリアになってくると、まさに台湾有事が日本の有事になってしまう」と警鐘を鳴らした。

高市首相が続投した場合、3月に訪米し、トランプ大統領と首脳会談するといわれ、4月にはトランプ大統領が中国で習近平国家主席との会談を予定している。これらの会談が重要な意味を持ちそうだが、ともかく現在、日本が厳しい安全保障環境の変化への対応に迫られているのは間違いない。

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