外交問題の議論が深まらない衆院選 中国に接近するトランプ政権、日本は米中との距離感をどう取るべきか

グリーンランド領有を意向するトランプ大統領の発言をめぐり、欧州ではサッカーワールドカップ(W杯)ボイコット論まで飛び出している。

今夏開催のW杯はアメリカを含む北中米3カ国大会だ。そのくらい、欧州と米国の亀裂は深まっている。そんな中行われている今回の衆院選。与野党とも公約は消費税減税一色で、外交問題への議論が深まっているとは言い難い。

先週放送されたテレビ朝日系「報道ステーション」での党首の主張を紹介すると、自民・高市早苗氏は「米軍が攻撃を受けたとき日本が何にもせずに逃げ帰るのは日米同盟がつぶれる」と日米同盟重視の主張は従来通りだ。連立与党の維新・吉村洋文氏は「自分の国は自分で守る」ことが基本だと言う。

中道改革連合・野田佳彦氏は非核三原則を堅持しつつ「必要な防衛力は整備して現実的な外交防衛政策を推進」と話す。国民・玉木雄一郎氏は「中国に依存しないサプライチェーン網の構築」を主張し、共産・田村智子氏は日中関係改善のために、“台湾有事発言”を撤回すべきとする。

参政党・神谷宗幣氏は独自防衛を基本としながら「中国やロシアとももう少し話し合いを」と言い、“八方外交”を勧める。れいわ・大石晃子氏は「安保3文書の改定」を強調する。保守・百田尚樹氏は経済安全保障の観点から「移民はもういらない」と発言する。

2日放送のテレビ朝日系「モーニングショー」では衆院選で外交問題をどう見るべきかを議論、この中で外務省幹部の「米国の関与を前提とした外交の土台が揺らぎつつある」という発言を紹介した。

トランプ氏はたびたび「G2」という言葉を使うなど、中国寄りの姿勢を見せている。これに対し、元駐米大使の藤崎一郎氏は「日本にとって安全保障の同盟国はアメリカしかいない。経済的にも地政学的にも日米は互いに“脱アメリカ”は難しい」と語る。

与野党の主張を比べてみても、共産党は唯一日米安保の廃棄を掲げているが、安全保障上のパートナーを中国やロシアに代えろという主張は皆無だ。日米安保堅持が国民世論の多数であり、アメリカや中国との“距離感”について、各党の主張に温度差があるに過ぎない。有権者はそこをどう読むかが必要だ。

とりわけ中国との向き合い方は悩ましい。中国がレアアース輸出管理強化を言い出して以来、経済の脱中国依存の声は急激に大きくなっている。

レギュラーコメンテーターの玉川徹氏は「アメリカか中国かどちらか選べと言われても、選べない。レアアースの依存度を減らしているが現在でも70%だ。ある抗生物質の原料はほぼ100%中国に依存している。それぐらい経済的に密接に結びついている。(外交は)どこも敵にしないということが大切。中国をむやみに刺激する必要がない。欧州は安全保障をNATOでやっているが、NATOから離脱なんて言っていない。日本にはしたたかな外交がますます必要だ」と指摘。

藤崎氏はシンガポールのシンクタンクの世論調査を引き合いに出し、「ASEAN諸国でもっとも信頼されている国はダントツで日本」だといい、日本はしたたかな外交をやってきたと話した。

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