中国で製造された「真正拳銃」1万1000丁が未回収 米国では3Dプリンターの拳銃が規制へ
ゲームセンターなどで流通していたプラスチック製のカラフルなおもちゃの拳銃。実弾を入れれば、殺傷能力を持ちうる“真正拳銃”であることが警察の捜査で判明した。警察は回収を呼びかけている。NHKは捜査の最前線に密着取材し、26日に「クローズアップ現代」で放送した。
番組が取材した熊本の親子は、昨年5月頃にショッピングモールのクレーンゲームで手に入れたという。7月に警察はそれが拳銃にあたると発表、今年1月から立件対象として捜査しているが、それまでは猶予措置を取っていた。科学捜査研究所が実弾で実験したところ、17種類すべてで殺傷能力が測定された。「構造」と「威力」の2つが揃うと、銃刀法上の「銃」とされる。
なぜ、ゲームセンターや量販店に流通したのか。ある販売会社が仕入れたのは1年前で、まだ違法な拳銃とは認定されていなかった。ECサイトでの個人輸入というルートもある。今回、警察が押収した1000丁すべてが中国でおもちゃとして製造されたものだ。少なくとも5つの業者が今も中国のECサイトで販売中であることが判明した。
現在までに警察が回収できたのは約5500丁で、残り約1万1000丁はどこで誰が持っているのかわからない状態だ。ほとんどの人は熊本の親子のように、“真正拳銃”であるとの認識はないものと見られる。ただ、個人輸入ルートではガンマニアなど、ある程度銃の知識がある人もいるだろう。国は警察のサイバーパトロールと税関での検査を強化している。
日本大学危機管理学部の福田充教授は、今回の件について「警察が回収のために広報を強化するのは重要なことだが、逆に殺傷能力を知らせることになって悪用されるリスクも高まる。2点目は、エアガンなど改造銃の取り締まりはこれまで進んできたが、今回はおもちゃが規制の網の目をかいくぐってしまった」課題を2点指摘。
福田教授によれば、アメリカでも3Dプリンターで作ったゴーストガン(シリアルナンバーのない自家製の銃器)が社会問題になっていた。そこでニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事は今月7日、3Dプリンターで銃器を製造できないようにする法案を発表した。成立すれば、3Dプリンターメーカーに銃器の造形を阻止する安全機能の搭載を義務付ける全米初の州法となる。法案にはピストルメーカーへの規制も含まれる。
実は、ニューヨーク州では2021年にゴーストガンの販売・所持を禁止する法律が成立している。ホウクル知事の法案はこれをさらに厳しくして実効性のあるものにするものだ。また、2025年3月、米連邦最高裁判所は、3Dプリント銃部品を含む自作銃キットに対し、実銃と同様の規制を適用できるとする判断を下した。
日本でも3Dプリンターは普及しており、銃器製造のリスクは残っている。