受験生そっちのけの衆院選、次世代を担う若者たちへのメッセージはないのか
衆院選がスタートし、各候補が真冬の日本列島を駆け回っている。衆院解散から2月8日の投開票まで戦後最短の16日間。ムードが盛り上がらない中で選挙戦が始まっただけでなく、チームみらいを除く与野党がこぞって消費税減税を公約に掲げる争点の分かりにくさもあり、投票率の低下が懸念される。
2月投開票の衆院選は1990年以来36年ぶり。2016年に選挙権を得られる年齢が20歳から18歳に引き下げられたが、大学を目指す学生や浪人生にとってはまさに勝負時で、選挙どころではない受験生も多いだろう。それどころか、大音量の演説が集中力を阻害する一因になる可能性もある。
高市早苗首相の高い支持率がキープされているうちに議席を取り戻したい自民党、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合などの党利党略が透けて見えると、有権者の関心もしぼむ。どこか白けたムードが漂うのは、そんな背景と無縁ではないはずだ。
消費税減税以外にも安全保障、外国人問題、政治改革など喫緊の課題は山積している。ただ、その一方で未来への提言、次世代を担う若者へのメッセージが少ないのは残念に思う。
そんな悠長なことを議論するような状況ではないという意見もあるかもしれないが、若い世代が夢を持てる世の中にしていく、少なくとも明るい未来に近付く努力をすることは、数ある諸問題と同じくらい重要だ。
若者が安心して働ける環境という観点で言えば、政治、行政、民間を問わず、組織内でのセクハラ、パワハラは枚挙にいとまがない。コンプライアンスが声高に叫ばれる世の中になっても、まだまだ同じようなニュースが後を絶たないということは、報道されない同じような案件はもっとあることが容易に想像できる。
それがもし、若い芽を摘むことになったとしたら、当該の組織だけでなく社会的な損失と言っても過言ではない。本人に代わって業者が会社へ退職の意思を伝える退職代行業が奇異な目で見られがちだが、なぜ利用者が多いのかという根源的な原因に向き合う必要がある。少し前まで当たり前だったやり方が今では通用しないことを大人たちが認識しないといけないことは、自戒を込めて書き留めておきたい。
また、コロナ禍による変動はあったものの、長期的に見れば婚姻率や出生率も低下の一途。人口減少に歯止めがかかるはずもない状況だ。
自らの意思で独身を選択するならともかく、結婚、出産したいにもかかわらず経済的な不安からためらう例も少なくないだろう。
目先の利益ももちろん大切だが、未来への投資を続けることも極めて重要。「きれいごと」と切り捨てるのではなく、中高年以上の世代が次世代に気持ちよくバトンを渡すために何ができるか考える必要がある。
誰もが幸せを実感できる社会、将来に夢を持てる世の中を実現するには、やはり政治の力が必要だ。衆院選は2月8日に結果が出るが、大切なのはその後。政治への関心を失わず、一人一人が考え続けなければならない。
文/請川公一 内外タイムス編集部