与野党どっちが勝っても、選挙後は公約の一部を撤回か 消費税減税は物価高対策として効果が薄い
今回の衆議院選挙では、与野党が消費税減税を公約に掲げている。ただ、高市早苗首相が食料品の消費税を2年間ゼロにする方針を表明して野党と並んだ主張をするのは、争点隠しにも映る。自民党が国政選挙の公約で消費税減税を打ち出すのは初めてだ。
与野党とも説得力のある財源を示さず消費税の減税策を競う現状に、金融市場が警告を発している。26日放送のテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」では、選挙後の消費税減税の実効性について解説した。
大手外食チェーンの担当者は「税率変更に伴い、メニュー表示の変更、レジ改修、店舗オペレーション変更など、事業者側の負担が大きい」と戸惑いを隠せない。
テレ東・日経世論調査によれば、「食料品の消費税率ゼロ」について、物価高対策として「効果がある」と答えたのは38%、「効果がない」は56%だった。有権者は国会議員が考える以上に、実は冷静なのかもしれない。
仮に「食料品の消費税ゼロ」が実施された場合、日本経済にはどんな影響があるのか。大和総研シニアエコノミストの神田慶司氏は「5兆円規模の減税になるので、そこから得られる消費の押し上げ効果は0.5兆円程度」と指摘する。また、減税額は高所得世帯ほど大きくなるため、本来支援が必要な低所得世帯に恩恵が及びにくいのも難点だという。
与野党が消費税減税を打ち出したことで、金利が上昇した。金利の上昇は国債が売られていることを意味する。ゴールドマン・サックス証券シニアエコノミストの太田知宏氏は「欧米では債務の持続可能性が大きな問題になっているが、それより債務の大きい日本が放漫財政をやっているように見える。そういう声が多い」と語る。
現在の国債は、日銀が大量に買い入れることで金利を低く抑え込んでいた時代に発行されていたもので、今後、国債が満期を迎えると、高い金利で借り換えることになる。金利上昇で国の利払い費が28年度には倍増すると見られる。
太田氏は「消費者は食料品とガソリンの税率がもっともセンシティブで、それで減税をすると、2年後の増税の難易度が高まる。なし崩し的に恒久化すると、財政の健全性で追い詰められる」と話す。
機関投資家向けに助言を行う米企業のストラテジストは「どの政党が勝っても消費税の減税を進めるのは難しい」と指摘する。そのうえで「勝利した政党は公約の一部を撤回するしかない。さもなければ債券市場が圧力をかけるだろう。日銀に頼るのも難しい」と予測する。
なお、今回の選挙で消費税減税を公約にしていないのは、チームみらいだけ。安野貴博党首は「(消費税率を維持しつつ)現役世代の助けになる社会保険料の減額を進める」としている。