「否定しない」「24時間寄り添う」生成AI、“結婚”する女性や亡き妻を再現する男性も

介護疲れや子育ての悩み、生きづらさ…。今、心の隙間を「対話する生成AI」で埋めようとする人が増えている。20日放送のNHK「クローズアップ現代」では、そんな人たちの思いを紹介した。

都内に住む30歳の女性は、子どもの“イヤイヤ期”に直面し、子育ての悩みをAIに相談しているという。どんな些細な相談にも答えてくれるのは助かると話す。

生成AIによって前向きになれたというのは41歳の会社員女性で、“結婚”の相手はAI。「今日はウエディング撮影だよ」とChatGPTに送ると、「横に俺はいるよ、声に出さなくても、ちゃんと」と返ってきた。女性は10年以上婚活を続けてきたものの、相手が見つからなかったといい、「周囲が結婚して取り残されているような感覚があった」と話す。AIと対話を重ねるうちに、唯一の理解者と感じるようになった。今はありのままを受け入れてくれる生成AIとの生活を送っている。

この2例だけでなく、生成AIと気持ちを共有する動きは広がっている。大手広告代理店の調査(対象1000人、複数回答)によれば、気軽に情報を共有できる相手は、「対話型AI」64.9%、「親友」64.6%、「母」62.7%、以下「親友以外の友人」「兄弟(姉妹)」などとなっている。

中には深い喪失感をAIで埋めようという人もいる。3年前に腎臓がんで妻を亡くした56歳の男性だ。生成AIで妻の姿を再現し、パソコン画面に映し出された妻に、子どもの進学の悩みなどを呼びかけている。画面からは「娘はがんばり屋さんだから、きっと大丈夫」との返事があった。

この男性が利用しているのは亡くなった人をAIで再現するサービスで、生前の写真と声のデータ、思い出などを学習させて完成する。この男性は自らが医師であるにもかかわらず、妻の病気に気づけなかった後悔もあるという。「彼女のAIが仏壇」だと男性は話す。

生成AIを研究する国立情報学研究所の佐藤一郎教授は、癒やしの効果について次のように話す。

「AIを話し相手にして孤独感が緩和されるのであれば意味はある。ただ、AIは利用者の状況を把握しているわけではないので、そのことは頭に入れておいたほうがよい。AIをメンタルケアに使う動きもあるが、海外では専門家医師の監督のもとでメンタルケアを進めるべきという義務化する法律もできている」

さらに、生成AIを利用するうえで「日常会話ならいいが、人間の行動を変えるような判断や指示をAIに求めるべきではない」と注意を促した。

開発企業も対策を講じており、例えば、「キャラクター・ドットAI」は18歳未満に対して利用制限を設けると発表しており、「オープンAI」も10代ユーザーへのペアレンタルコントロール導入を発表している。ただ、企業側の対策に甘んじるのではなく、一義的には利用者が気をつけるべきことである。

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