公明票が逃げる! 大慌ての高市首相が「中道に勝てる政策を」と大号令 各地では「ダメ元」で公明にすがりつきも
19日夜、正式に通常国会冒頭での解散を表明した高市早苗首相。「内閣総理大臣としての進退をかけます」と強い決意を述べた。
「勝敗ラインが『自民・維新で過半数』というのは現状とほぼ同じだし、党内でも響かないと思う。ただ衆院選前に首相がはっきりと進退に言及することはめずらしく、驚いた」(自民党関係者)などといった受け止めが党内で広がるが、高市首相がここまで踏み込んだ背景には、かつての連立のパートナー、公明党が立憲民主党と新党「中道改革連合」(以下、中道)を結成したことへの焦りがあるようだ。
「野田佳彦・斉藤鉄夫の両共同代表が新党名を発表した日に、高市首相が財務省幹部を呼び出し『中道に勝てる政策を出してくれ』と強く指示した、という話が永田町で出回っています。実際に高市首相は中道が掲げた『食料品消費税は恒久的にゼロ』に対抗するように、『食料品消費税を2年間ゼロ』を打ち出しました。財源を考慮し2年間に限りましたが、中道の目玉政策にかぶせてきた形です。論戦では、中道が立憲側に配慮してあいまいにした安保政策などについて攻めていくとみられます」(全国紙政治部記者)
さらに、選挙に臨む姿勢でも、中道に対抗。
野田・斉藤両氏は「政治生命をかけて選挙戦に臨む」との姿勢を示しているが、野田氏は敗北した場合の具体的な責任のとり方については言葉を濁した。斉藤氏は「今回の衆院選で目標を達成しなかった場合は、共同代表を辞任する」と明らかにしたが、高市首相が「進退をかける」と述べた後だった。
もともと野田氏らの「政治生命」発言については、立憲議員から「立憲・公明を嫌いな人たちは『中道が負けるのを見たい』『野田氏らを辞めさせたい』と盛り上がってしまう。都知事選で『蓮舫氏が3位になるのを見たい』と石丸伸二氏に票が流れ、蓮舫氏が惨敗したことを忘れたのか……」とのぼやきも聞こえるなど、党内で評判がいいとは言えなかった。
それでも高市氏が野田氏らに対抗するかのように「進退をかける」と述べたのは、立憲と公明の合流に危機感を抱いているからだろう。
各地の選挙現場の自民関係者の間でも、公明票が逃げることへの危機感は日に日に強まっている。
綱領も公明が主導して作り、『中道』という言葉は創価学会の故池田大作名誉会長が語ってきた言葉だということもあり、ここ数日、学会幹部らが積極的に新党への支援を会員に呼びかけている。
「会員の中にも『これまで無理して自民にくっついてきたが、今後はむしろ自分たちの理念に沿った活動ができる』と好意的な向きがある。組織的に自民から離れる流れが一気にできてしまうのでは」(自民関係者)
実際に自民の地方議員は「これまで自民のベテランにべったりとくっついていた公明の市議会議員が、連立を解消してからコロっと態度を変えてきた。今まで一緒にやってきても、中央が方針を変えれば、簡単に自民から離れてしまう」と嘆く。
それでも厳しい戦いを前に、自民が背に腹は代えられず公明に支援をお願いすることもありそうだ。
「これまでは、公明議員を通じて小選挙区での学会票の取りまとめをお願いし、代わりに公明の比例票獲得のために、自民の持っている支援者名簿を公明に提供する、ということをしてきた。今回も特に厳しい選挙区では、敵になったはずの公明に『ダメ元』で頭を下げて、水面下の支援をお願いするところも出てくるだろう」(自民地方関係者)
公明票が自民から立憲に移ると、前回自民が勝った小選挙区のなかで30以上の勝敗が逆転するとのシミュレーションも一部で報じられている。高市首相、野田・斉藤両共同代表の双方が政治生命をかけた戦いの行方は。
文/中村まほ 内外タイムス編集部