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「出稼ぎ」風俗嬢が見た、福岡のクソ客たちと新潟・長岡の寂しく孤独な男たち

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――男が、恋人や友人ではない、風俗嬢にしか見せない姿や感情はどんなものだろうか。セックスをした「他人」だけに見せる、男たちの情けなさ、みっともなさ、滑稽さ、そして優しさをアラフォー風俗嬢がつづります。

◎初めての出稼ぎ、福岡はクソ客ばかり
 ロリ系のポチャ店で出会った若い女の子に、この仕事には出稼ぎというものがあると教えてもらった。

 彼女は福岡に10日間行って、40万円以上稼いでこられたからおススメですよ、なんて言っていて、おいしい話を鵜呑みにした私。地方は世間が狭いため、身バレの心配から地元の人はまずあまり働けないので、慢性的な人手不足に陥っている風俗店も多い。そのため県外から働いてくれる女性を募集する。

 都内は女の子も風俗店も飽和状態で、特にデブは暇すぎて稼げないから、警戒したり迷ったりしている暇はない。失敗しても売り飛ばされても、守るものもなければ、これ以上失うものもない。デブのおばさんが、どう調べて働き先を見つけたらいいのかわからなかったので、情報を教えてくれた女の子とまったく同じお店に行くことにした。

 話を聞いてから2週間もしないうちに福岡へ飛んだ。初めての出稼ぎ。

 旅行へ行くと支出ばかりだけれど、お金を稼ぎながら旅行もできるなんて、旅行好きの私にはなんて一石二鳥なんだと、ハイテンションだった。ところが甘かった。

 彼女とは年齢が10歳以上違う上に、体形もはるかに私の方がデブだ。そのため同じグループ内のお店で、デブでもブスでも化け物でも誰でも入れるみたいな、採用率100%の地雷専門店のようなお店に配属された。契約内容は13日間出勤を希望し、勤務時間は12時間、宣伝用の自撮り写メブログは1日5回以上あげること。それで1日3,000円の寮費と雑費を引かれ、往復の交通費は支給された。

 福岡の出稼ぎは失敗だった。夕方5時から出勤して、朝の5時まで受付。朝4時59分に120分コースの予約が入ったときは、殺意が芽生えた。

 休むこともできず、乳首もまんこも触られすぎてボロボロに傷だらけ。こんなに連続出勤したことないから、回避方法もわからずそのまま受け入れていたもんだから、乳首がヒリヒリ悲鳴を上げていた。

◎出稼ぎ嬢の中には妊婦さんも
 博多は中州近くにビジネスホテルも密集しているので、この激安デリヘルの利用者も、繁華街で飲んで酔っ払った出張客の多いこと。とにかく酒癖の悪い客は臭いし乱暴だし、酔っぱらってろくに勃起もしていないのに、生で強引に挿入してこようとするような、クソ客ばかりだった。

 博多在住のお客さん全員が悪いわけじゃない、東京や大阪から出張で来てハメを外して遊んでいる客層が最悪なんだ。客層は最悪だったうえに、13日間で34万5,500円という微妙な結果に終わった。この額なら東京でも全然変わらない、ただ閑散期だったのでちょっとは有り難かったというだけ。

 それにしてもこの店、出稼ぎ嬢だらけで驚いた。ワケアリ嬢で、地元で出産できないのか住むところがないのかわからないけれど、何カ月も出稼ぎで滞在して働いている妊婦さんがいた。かなりおなかも大きくて、売りは母乳らしく、需要がかなりあるという話。赤ちゃんへの衛生面や性病のことを考えると、とても恐ろしくて理解できない。

 でもやらなきゃいけない事情があるのかなと思うと、なんだか見ていて切なくなった。福岡のデリヘル、もう二度と働きたいと思わないし、恐怖でしかない。

◎面白いほどに客層が違いウブだった、新潟県長岡
 この翌月からは、もっとまともなお店で働きたいと思い、また人の紹介でお店探し。店長やスタッフがいい人たちで働きやすく、新潟の第2の都市・長岡へ約1年お世話になった。

 月の約半分を寮で生活し、東京と行ったり来たりする生活。博多のように地方の都会とまでいかない、のどかな田舎街、長岡。地方でも面白いほどに全然客層が違う。ウブな人も多く、風俗嬢を卑下しない人も多く、本気で結婚を申し込んでくるお客さんもいた。

 コシヒカリなどの農家さんも多く、閑散期や繁忙期が他県と違い、田植えのシーズンや稲刈りのシーズンに出稼ぎすると、暇という印象だった。新潟に行くようになって驚いたことが、テレビのローカルCMで知った、うつ病自殺者の多さ。

 本番を無理強いする人も都会に比べると圧倒的に少なくて、どちらかというと孤独や寂しさを癒やしたり、話し相手がほしくてデリヘル嬢を呼ぶという人も結構いた。

 東京で奥さんに捨てられ、病んで実家に帰ってきたんだけれど、うつ病の薬を飲んでいるから勃起はしないんだ、と言いながらも、寂しさから真夜中にデリヘルを呼んで、ただひたすら話を聞いてほしいという人もいた。

 障害があるからといろんなデリヘルに断られて、ようやくそちらのお店がOKしてくれて、とうれしそうに話す、酸素ボンベのカートを引いた男性とは、ラブホでたくさんお話を聞いた。

 母がうつ病でずっと入院生活、祖母と二人暮らしの20代のお兄さんは、母の医療費と祖母との生活費を稼ぐことに必死で、仕事も介護職だから同世代の友達もあまりおらず、友達になってほしいと本気でお願いされたり。

 地方の寂しさと孤独をまざまざと見せられた1年だった。気候が性格に影響するのかわからないし、雪国気質という言葉があるのかわからないけれど、暗くて閉鎖的で人見知り、よく言えば控えめ、親しくない人には陰湿だったりする人も多く感じた。でも、親しくなると本当に面倒見がいい。優しいし一途に遊んでくれる人が多かった。

◎地方の寂しさと孤独に耐える、男性たちの姿
 もちろん中には遊び方やルールがわかっていない、とんでもない非常識な人もいたけれど、この新潟出稼ぎ生活1年で精神力がかなり鍛えられ、忍耐力もつき、今ではちょっとやそっとのクソ客ではブチ切れなくなった。

 安定して稼げていて常連さんも増えたし、人間としてもかなり成長できたのだけれど、いつまでも毎月行ったり来たりの生活も結構疲れる。毎月スーツケースに荷造りをして、新幹線に乗ることに疲れ果て、8月の長岡花火大会を最後に新潟に別れを告げた。

 最後の出稼ぎ10日間中、何度も通ってくれたり、餞別をくださるおじさんがいたり、「君がいなくなったら、次は誰を指名したらいいんだ」なんて言われると、本当に切なくなった。仲良くなったおじさんたちそれぞれと、涙涙のお別れをしたり、ラブホテルで尾崎紀世彦の「また逢う日まで」をバックミュージックに流しながらハグしたり。

 新潟県民の優しさと、孤独と寂しさに生き耐える、普段は見せない男性たちの姿に、最後まで涙が止まらなかった。

mandara

*曼荼羅*(まんだら)
デリヘルで風俗デビューし、現在出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちするアラフォー。子宮筋腫と腎臓の手術経験があり、現在は子宮頸がん中等度異形成持ち。売りはHカップのおっぱいだけれど、1日2万稼ぐのがやっとの売れない風俗嬢。
ブログ「続・おちぶれ続けるアラフォーでぶ女の赤字返済計画

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